りゅうおうのおしごと! 11(★★★★☆)

りゅうおうのおしごと!11 (GA文庫)
◼あらすじ
「私を殺して……」奨励会三段リーグで三連敗を喫し心が折れた銀子は、八一に懇願する。「俺が連れて行ってあげますよ。絶対に死ねる場所へ」こうして二人は将棋から逃げた。それは同時に、なぜ将棋を指すのか問い直す旅でもあり――
なぜ、八一は銀子を『姉弟子』と呼ぶようになったのか?なぜ、銀子は女流タイトルを求めたのか?八一と銀子の出会いと修業時代の日々、そして《浪速の白雪姫》に隠された最大の秘密が遂に明かされる
告白の第11巻!将棋の神が定めし残酷な運命は、誰に微笑むのか?

◼感想
シリーズ11冊目。三段リーグで三連敗を喫して心が引き裂かれた銀子、八一はそんな銀子をとある場所へと連れていく。二人の出会いと現在まで、まるごと銀子尽くしの巻でした。八一の「銀子ちゃん」呼びが微笑ましい。お互いの気持ちも確認できたし、恋愛的な意味では決着が着いたのかな。それともあい達にもチャンスがあるのか。
創多との戦いは正に熱戦で、生意気な奴だったので銀子が勝ってくれてスカッとした。ようやく将棋星人の棲む星にたどり着いたようでひと安心。水面下で色々と不穏な動きもあるので次回も見逃せません。

アヤカシ・ヴァリエイション(★★★★☆)

アヤカシ・ヴァリエイション (LINE文庫)
◼あらすじ
美貌の青年、真継晴の周囲で繰り返し起きる悲惨な事故。それは晴の祖父、座倉統十郎が持つ骨董品「匣」の相続を争う、親族たちの謀略だった。命を狙われた晴の護衛として雇われたのは、横浜山手に店を構えるという、骨董品店「杠屋(あかなしや)」の面々。彼らは、いわくつきの古道具「特殊骨董」の始末を請け負う特殊骨董処理業者であり、彼ら自身もまた特殊骨董の化身――付喪神なのだという。呪われた「匣」の秘密と晴の過去を知るために、座倉家に乗りこんだ晴と杠屋の妖かしたちだが…。

◼感想
LINE文庫創刊ということで試しに1冊購入。ベテランの作家さんなだけあって手堅くまとめられていて面白かったです。周囲で悲惨な事故が起きる美貌の青年・晴と刀剣の付喪神・和泉がコンビ。豪快そうに見えて人を殺したくないという繊細な気持ちを抱える和泉をゆっくりと晴が理解していく過程が微笑ましい。真緒達も付き合いやすそうで良かったね。少しずつ良いコンビになっていくといいな。
とりあえず座倉統十郎は滅べばいいと思う。というか座倉家ロクな奴がいない。晴の母親ってあの人なのか…?これからは 杠屋の仲間と一緒に自分の力を生かしていってほしいです。

異世界落語 6 (★★★★☆)

異世界落語 6 (ヒーロー文庫)
◼あらすじ
現代の噺家・楽々亭一福は、マドカピア王国でも変わらずに落語を披露し続けていた。一福を気に入っているモーニングラウンド王は、正式に宮廷ハナシカにならないか、と持ち掛けるのだが、一福はその誘いを断ってしまう。「自分は落語をやるだけ」というスタンスを頑なに崩さない一福に疑問を抱いたアヤメは、闇魔法を使って寝ている一福の過去を覗き見る。そこに見たのは師匠の七福や弟弟子の多ら福とともに、平和な世界で落語を披露している一福の姿だった。しかし、一福の幼馴染の女性、小春の婚約を巡って、事態は想定外の方向に動いていき―。

◼感想
シリーズ6冊目。自分には落語だけ、周囲を落語で魅了しつつもどこか一線を引いていた一福の過去が明らかになる。アヤメの魔法によって明かされた一福の過去は想像以上に重いもので厳しく言ってしまえば逃げているのだけれど、アヤメがガツンとぶつかって一福を目覚めさせてくれて良かった。「私が側にいると、約束します」はプロポーズでいいと思うよ。
それに比べて闇に呑まれて暴走してしまったラッカ、出自が明らかになり闇堕ちしそうなクランエが心配です。自分の問題と向き合うことができた一福がどんな落語で異世界を救うのか楽しみです。

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (★★★★☆)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)
◼あらすじ
片田舎に暮らす少年・江都日向は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子だった。彼女は死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる―。抱えていた秘密が解かれるとき二人が選ぶ『正解』とは?

◼感想
身体が金塊に変わる致死の病を患う少女と劣悪な家庭環境に苛まれる少年の切ないラブストーリー。劣悪な家庭環境だけではなく恋をした少女は難病という中学生の少年が背負うにはあまりにも重くてずっとエトを応援していた。無気力なようでいて弥子と出会う時は年相応なエトが微笑ましい。友達の晴充がさりげない気遣いができる良い奴でした。
弥子がエトを選んだ理由はちゃんとはられていた伏線が回収されていて納得。三億円の行方はああいう形の方がエトのことを考えると良かったと思います。閉鎖された田舎から羽ばたくことを決めたエトの未来に幸あれ。

神域のカンピオーネス 5 黙示録の時(★★★★☆)

神域のカンピオーネス 5 黙示録の時 (ダッシュエックス文庫)
◼あらすじ
ヒューペルボレアで繰り広げた太陽神アポロンとの戦いによってカサンドラを奪還した蓮たちは、芙実花と厩戸皇子を羅濠教主の下に残し、地球へ帰還の途につく。しかし、その際に「聖ヨハネの魂」に出会う。聖ヨハネは蓮たちに、地球滅亡の兆しがある、と告げる。聖ヨハネの警告を受け、地球に戻った蓮たち。地球はかつて無い程の異常気象に直面し滅亡の一途を辿っていた。その時に蓮の目の前に女神アテナが姿を現す――!!彼女は蓮に宣戦布告をし、地球に終末の時を迎えさせるべく、世界各地を駆け巡る!!蓮は、アテナと終末の時を阻止することが出来るのか……!?地球滅亡を懸け、「神殺し」とアテナとの決戦が始まる――!!

◼感想
シリーズ5冊目にして最終巻。地球滅亡を目論むアテナとの決戦が中心。前巻で一気に進展した蓮とカサンドラはイチャつきモード、さすがに焦った梨於奈は今の自分の気持ちを素直に蓮に告白して両思いに。普段は素直じゃない女の子が照れながら告白した方が破壊力があると思う。
アテナとの戦いは苦戦を強いられましたが最後はちゃんとやってくれました。アテナって色々な側面を持った神なんだなと今更ながらに思いました。アイーシャさん結構くせ者…。別作品のキャラも出てきましたね。「俺達の戦いはこれからだ!」的なラストだったので別タイトルで蓮達のその後をみれるそうです。個人的に梨於奈推しなので頑張ってほしい。

これは経費で落ちません! 6 ~ 経理部の森若さん ~(★★★★☆)

これは経費で落ちません! 6 ~ 経理部の森若さん ~ (集英社オレンジ文庫)
◼あらすじ
天天コーポレーションに企業合併の危機!?役員秘書の有本マリナが、キャバクラでアルバイトをしているという噂を確かめるため、調査を始めた麻吹美華がとんでもない情報をつかんだ。知り合いに頼んで潜入調査で撮ってきてもらった映像のなかに、天天コーポレーションの部長三人が、企業買収の専門会社の人間と会っている場面があったのだ。会社の危機に沙名子は…?

◼感想
シリーズ6冊目。会社合併という大きな問題も浮彫りになり、波乱の展開でした。第一話の志保さんが自分と似ている部分があって嫌いになれなかった。悪気はないんだ、人間関係に不器用なだけなんだ…。美華の真っ直ぐさは素直に凄いと思う、でも森若さんの言う通り優秀だけど隙があるから放っておけないんだよね。
森若さんは基本的にはクールというかビジネスライクだけど段々と熱い部分も出てきてそこが魅力的だなと思います。わざわざあそこまで面倒くさい問題に首を突っ込んだ上に、黒幕の家に行って「落ちろ」と重みのある言葉を言う場面は本当にかっこいい。大陽との仲は順調なようでようですね。ドラマ化おめでとうございます。

鎌倉お寺ごはん あじさい亭の典座さん (★★★★☆)

鎌倉お寺ごはん あじさい亭の典座さん (富士見L文庫)
◼あらすじ
退職したばかりの元営業・空也は、精進料亭“あじさい亭”で雇ってもらうために鎌倉へやって来た。しかし店主である僧侶・蓮沼竜玄は拒否!ついには、椎茸干しに集中して相づちさえされなくなる。取り繕った理由を話していた空也も、つい言わないつもりだった、この店でなければいけない本当の理由を口にしてしまう。「このまえ大好きだったばあちゃんが死んだ。堪らなくて、なのに出てきた精進料理が旨くて。味は違うのにばあちゃんの味を思い出した―」空也の独白に竜玄は…?

◼感想
じんわりと優しく心に染み込んでくるような物語でした。普段は濃い味付けが好きだけど、精進料理のような淡い味わいの料理も食べたくなりました。一つ一つの料理にきちんした思いや逸話が込められていて素敵だなと。個人的に一番印象的だったのが第4話。真由子が抱える苦しみを一緒に受け止めた田中さんも凄かったし、それを料理で支えた空也達も頼もしかった。
空也と竜玄も段々と仲良しコンビになっていて微笑ましい。竜玄の父親にもいつか認めてもらえるといいな、空也がはっきりと言ってくれてすっきりした。あやかし陰陽師シリーズも好きなのでぜひ並行して続いてほしいです。