これは経費で落ちません! 6 ~ 経理部の森若さん ~(★★★★☆)

これは経費で落ちません! 6 ~ 経理部の森若さん ~ (集英社オレンジ文庫)
◼あらすじ
天天コーポレーションに企業合併の危機!?役員秘書の有本マリナが、キャバクラでアルバイトをしているという噂を確かめるため、調査を始めた麻吹美華がとんでもない情報をつかんだ。知り合いに頼んで潜入調査で撮ってきてもらった映像のなかに、天天コーポレーションの部長三人が、企業買収の専門会社の人間と会っている場面があったのだ。会社の危機に沙名子は…?

◼感想
シリーズ6冊目。会社合併という大きな問題も浮彫りになり、波乱の展開でした。第一話の志保さんが自分と似ている部分があって嫌いになれなかった。悪気はないんだ、人間関係に不器用なだけなんだ…。美華の真っ直ぐさは素直に凄いと思う、でも森若さんの言う通り優秀だけど隙があるから放っておけないんだよね。
森若さんは基本的にはクールというかビジネスライクだけど段々と熱い部分も出てきてそこが魅力的だなと思います。わざわざあそこまで面倒くさい問題に首を突っ込んだ上に、黒幕の家に行って「落ちろ」と重みのある言葉を言う場面は本当にかっこいい。大陽との仲は順調なようでようですね。ドラマ化おめでとうございます。

鎌倉お寺ごはん あじさい亭の典座さん (★★★★☆)

鎌倉お寺ごはん あじさい亭の典座さん (富士見L文庫)
◼あらすじ
退職したばかりの元営業・空也は、精進料亭“あじさい亭”で雇ってもらうために鎌倉へやって来た。しかし店主である僧侶・蓮沼竜玄は拒否!ついには、椎茸干しに集中して相づちさえされなくなる。取り繕った理由を話していた空也も、つい言わないつもりだった、この店でなければいけない本当の理由を口にしてしまう。「このまえ大好きだったばあちゃんが死んだ。堪らなくて、なのに出てきた精進料理が旨くて。味は違うのにばあちゃんの味を思い出した―」空也の独白に竜玄は…?

◼感想
じんわりと優しく心に染み込んでくるような物語でした。普段は濃い味付けが好きだけど、精進料理のような淡い味わいの料理も食べたくなりました。一つ一つの料理にきちんした思いや逸話が込められていて素敵だなと。個人的に一番印象的だったのが第4話。真由子が抱える苦しみを一緒に受け止めた田中さんも凄かったし、それを料理で支えた空也達も頼もしかった。
空也と竜玄も段々と仲良しコンビになっていて微笑ましい。竜玄の父親にもいつか認めてもらえるといいな、空也がはっきりと言ってくれてすっきりした。あやかし陰陽師シリーズも好きなのでぜひ並行して続いてほしいです。

湖底ゆらめく最果て図書館 光の勇者と涙する姫君(★★★★☆)

湖底ゆらめく最果て図書館 光の勇者と涙する姫君 (電撃文庫)
◼あらすじ
魔王を倒し、「めでたしめでたし」を迎えたはずの“最果ての図書館”の平和な日々…だが、事件は突如起こった。館長・ウォレスは役目を終えたはずのケルベロスの間に、ふと悪寒を覚える。そこには剣で身体を串刺しにされた謎の美女、ヒルデがいた。彼女は“地底湖の博物館”から、命からがら逃げてきたのだという。“博物館”館長は、魔王により家族を喪い、心を病んだ少女マリーアンジュ。「世界の何もかも、全部が欲しいの」夢見心地に微笑む少女から、ヒルデを助け、館長として“図書館”を守るため、特殊魔法を会得したウォレスは“博物館”を巡る驚愕の真実を知ることに―。どこか寂しくどこまでも優しい“誰にも語り継がれないお伽噺”、追憶と哀哭のシリーズ第二幕!

◼感想
シリーズ2冊目。平和になったはずの図書館に突如起きた異変、剣で身体を串刺しにされた美女・ヒルデが来たことにより再びウォレスは事件に巻き込まれていく。ウォレスも館長としての自覚が芽生えたようで前回よりも皆と一致団結して図書館を守ろうとする姿が頼もしかった。リィリも少しずつ感情表現らしきものをしていて可愛らしい。
孤独だったヒルデとマリーの結末が優しいもので良かった。図書館を水浸しにされたウォレスは可哀相だけど。この作品の幻想的な描写が好きなので続きがあるのは嬉しい。ロットもまた登場してほしいな。

ブラッド・ブレイン1 闇探偵の降臨(★★★★☆)

ブラッド・ブレイン1 闇探偵の降臨 (講談社タイガ)
◼あらすじ
ある母娘を脅かす「悪魔の声」。その正体と目的は?警視庁捜査一課の刑事・百成完から相談を受けた「闇の探偵」月澤凌士は、たちどころにその謎を解き明かす。だが、それは複雑怪奇な連鎖殺人の序章でしかなかった。完璧なアリバイを支えるトリックと、犯罪の恐るべき全貌を月澤は見破れるか? そして月澤自身に隠された最凶の秘密とは? 本格ミステリー界を揺さぶる強烈な名探偵登場! シリーズ第1弾!!

◼感想
捜査一課の刑事・百成と犯罪者でありながら天才的な頭脳を武器に事件を解決に導く月澤がコンビ。実際にこんな刑務所があったらゾッとする。月澤がなぜ熟練した刑事ではなく若い百成を相棒に選んだのかが気になる。事件自体も最後にどんでん返しがあって読みごたえがありました。
少年犯罪に関しては確かに刑罰が甘く感じる部分はあるけどだからといってあんなことをして一線を越えたらアウトだよ…。真の黒幕は癖がありすぎて強かったですね、月澤と対面した時にどんな化学反応が起きるのでしょうか。犠牲になったあの人の最期が寂しすぎて…。続きも読みたいと思います。

たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語7(★★★★☆)

たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語7 (GA文庫)
◼あらすじ
武術の頂を目指す者なら誰もが憧れる修行の聖地アスコルビン自治領。その現領主『剣神』アンズは、ロイドを前にして頭を抱えていた。修行のつもりで山を割り、教えてないのに秘術も使いこなすロイドの無自覚な規格外ぶりにアンズ呆然!一体誰ならロイドに稽古をつけられるのか?もう魔王でも呼んでこい―って本当に魔王来たーっ!?神獣宿る霊山で大幅パワーアップな強化合宿編!勇気と出会いの無自覚最強ファンタジー、第7弾!!

◼感想
シリーズ7冊目。修業の聖地であるアスコルビン自治領に修業をしに行くことになったロイドたち。その裏で自分の計画の為にアスコルビン自治領を利用するユーグ、黒幕だけどロイドが関わるとお茶目キャラになっちゃいますね(笑)ロイド達の規格外の強さに振り回されるアンズが面白かったです。さすがラスダンだけあってレンゲとネキサムの癖が強い!
今回のメインヒロインはフィロでしたね、迷いも吹っ切れて新たに自分の気持ちを自覚してこれからが楽しみなキャラです。サタンの登場でまた物語が動きそうな予感、続きが待ち遠しいです。

民俗学研究室の愁いある調査 その男、怪異喰らいにつき(★★★★☆)

民俗学研究室の愁いある調査 その男、怪異喰らいにつき (富士見L文庫)
◼あらすじ
民俗学のフィールドワーク中に“呪われて”しまった大学院生・名鳥歩。彼の周囲では不可思議な研究室荒らしや、動物の亡骸が散らばる事件が続く。身に危険が迫った名鳥に、教授が紹介したのは“怪異喰らい”と呼ばれる謎の美青年・朽木田千影だった。常に不機嫌そうな朽木田と脳天気な名鳥のふたりは、福井のある農村の風習を手がかりに“呪い”の秘密に迫っていくのだが…。謎が明らかになる一方、「怪異喰らい」となった千影の哀しい過去を知ってしまった名鳥は―?

◼感想
フィールドワーク中に怪異によって呪われてしまった大学院生・名取歩と怪異を喰らうことのできる不思議な少年・朽木田千影が事件を調査していく。民俗学は結構好きなので面白かったです。「蛇」がキーワード、神聖な存在として崇められている時もあればその逆もしかり。今回の物語で陰湿でしつこいイメージが定着してしまいました。蛇と結婚とか拒否しても仕方ないと思うが。
時折歩を助けてくれた瑞綺がああいう結果になったのは良かったのかな、その裏で犠牲になってしまった人もいますが。千影は普段どんな生活してるんだろうか?ていうか学生?続きがあるなら読みたいです。

淫らで緋色なノロイの女王(★★★★☆)

淫らで緋色なノロイの女王 (電撃文庫)
◼あらすじ
五年ぶりの故郷の街。禊が級友から告げられたのは、奇妙な噂だった。“夕焼けの女王が還ってきた―”かつてこの街を支配し、禊たちの青春を黒く塗りつぶし、忘れられない傷を植え付けた女王・緋崎ミコ。そして囁かれる女王帰還とともに、次々と不可解な事件が起こりはじめているというのだ。ミコが帰ってくることなどありえない…。だが、禊の手で“殺した”はずの美しき女王は、再び目の前に現れ、妖しく微笑む。もう一度私を殺して、と。ノロわれた街を舞台に、女王との淫らな黒い青春ホラーが幕を明ける―。

◼感想
かつて自分が住んでいた街を支配した少女・緋崎ミコが帰還したという噂が広まる。次々と亡くなっていく同級生や後輩たち、主人公・禊は仲間と共に事件を調査していく。ヤンデレの度合いが凄すぎてドン引きレベル、禊の心に居座り続けられるなら殺されてもいいと望むミコ。そんな彼女に翻弄されながらも自分の正義の為に事件を調査していく禊。最後の呪いに抗いながらミコではなく自分を刺そうと決意した禊が男らしかった。こんなに殺伐としていても二人が初めて会話を交わした場面は微笑ましくて年相応でした。
呪いの影響によってまだまだ街に降りかかる災厄は続くみたいなので続刊はあるのかな?このヤンデレな恋模様をまた読んでみたいなとも思います。