路地裏に怪物はもういない(★★★★☆)

路地裏に怪物はもういない (ガガガ文庫)

路地裏に怪物はもういない (ガガガ文庫)

◼あらすじ
誰もが簡単に未知を暴ける時代。路地裏の暗闇は駆逐され、幻想の余地はなくなり、怪異は姿を消して久しい。そんな現代社会で起きる不可思議な現象―乖異。己が空想こそが真の現実だと主張し、世界すら塗り換えようとする超常の力。乖異に導かれ集ったのは三人。絶えた怪異を殺す少女、空想を終わらせる男、そして世界に残された最後の怪異である少年。「死者のいない」猟奇事件に端を発した一連の流れに「真祖の吸血鬼」の存在を見いだした彼らは、それぞれの理由を胸に乖異と関わっていく。平成最後の夏、最後の幻想がはじまる。

◼感想
「平成最後を締めくくる新伝奇」という帯につられて購入。シリアスな雰囲気もありつつ、優しい余韻が残る物語でした。「乖離」という現象は一言でいうなら現実逃避みたいなものなのでしょうか、「真祖の吸血鬼」も歪んだ弱さを抱えていたからこういう悲しい結果になってしまったのか…。桜子さんの潔さが格好良かった…!
幽の今後が心配でした、ラストは大丈夫ということでいいんだよね…?感情表現が希薄な椿姫と素直でぐいぐいいく幽のコンビはバランスがとれていて好きでした。そしてエリザや沙耶が前へ進んでいると分かって一安心、エリザのツンデレ具合が可愛かったです。

平成から令和へ

今日で平成も終わりですね。だからといって何をするわけでもなく、10連休中3日間はずっと近場ですが出掛けていたので4日目は家でまったり読書をしていました。いや本当は平成最後の日なのでショッピングでもしようかなと思ったんですが、生憎の雨で断念しました。お家大好きの私には読書三昧の方が似合ってるな~と思うことにしました。
社会人になってからは仕事で辛いことが一時期沢山あり、何度も辞めようと思いました。その度に大好きな読書や食事という行為によって癒されて立ち直ることが出来ました。たくさんの面白い本をかいてくださる作者様に感謝、そしてそういった本を知るきっかけの一つを作ってくださった感想ブログサイト様に感謝です。これからも「気まぐれ読書手帖」をよろしくお願い致します。
写真は少し前に鎌倉に行った時のものです、御茶美味しかったです。

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平安あかしあやかし陰陽師 二 百鬼夜行の都に桜舞う (★★★★☆)

◼あらすじ
平安陰陽師たちが畏れる男、賀茂光栄。年齢不詳の美青年であり、安倍晴明の師でもある。幼なじみの歌人・藤原為頼や晴明とともに、ひとたびは宮廷を覆う菅原道真の怨霊を鎮めてみせた。日常を取り戻したかに見えた都。しかし、平穏は“式部”と名乗る美女の訪問をきっかけに破られる。彼女は怨霊退治に一役買った為頼に、ある亡霊の相談に来たという。その背景には都をさすらう法師陰陽師の存在が見え隠れし…?歴史に隠れた安倍晴明の師匠、光栄が、宮廷最大の危機に挑む平安秘伝第2幕、これより開宴―!

◼感想
シリーズ2冊目。相変わらず為頼の光栄への賛美にほのぼのとする、意図的ではなく無意識に言ってるから厄介だよね(笑)新キャラの蘆屋道満は光栄の弟子で変化の達人という斬新な設定。清明とのライバル関係も見所だが、為頼を救うために決死の覚悟で泰山府君祭を行う道満の優しさが魅力的だった。
大巫女様の話は少し切ない余韻のお話だった。最期に光栄に出会えて良かったものの大巫女様は光栄の本当の◼◼ってことだよね…。菅原道真の件は一件落着ですが、ぜひ続きが読みたいです。

女王の化粧師(★★★★☆)

女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

◼あらすじ
五人の候補者が次期女王の座を競う小国デルリゲイリア。ある日、花街の化粧師であるダイの下に、女王候補の遣いと称する男ヒースが現れる。ダイの腕を見込んだ男は、専属の職人にとダイを誘うが、主となる娘は“最も玉座から遠い”と言われていて!?「わたしにできることはただひとつ。あなたを、あなたが望むように美しくするだけ」グランドロマン開幕!

◼感想
久しぶりのビーズログ文庫。女王候補の化粧師として働くことになったダイ、主人となるマリアージュの我儘に振り回されながらも少しずつ彼女を変えていこうと奮闘する。コンプレックスの塊であるマリアージュですが、ダイが途中で気付いたように頭が悪いわけでも性格が特別悪いわけでもない。彼女に何も教えていなかった周囲の責任であって、これからどんどん逞しくなってほしい。
ダイの鮮やかな化粧のテクニックが素晴らしい、ヒースが認めるのもわかる。あまりに面白いのでWEB版も読んでしまいました、この二人の糖度をぜひ上げてください。続きが待ち遠しいです。

サイメシスの迷宮 忘却の咎(★★★★☆)

サイメシスの迷宮 忘却の咎 (講談社タイガ)

サイメシスの迷宮 忘却の咎 (講談社タイガ)

◼あらすじ
天才プロファイラー・羽吹允は、九歳のときに誘拐され、一年後に発見されてから、超記憶症候群を発症していた。二十年ぶりに会った小学校の友人からもたらされた情報は、最近起きた事件と過去の誘拐を結びつけるものだった。記憶を丹念にサーチする羽吹に見知らぬ番号からSMSが届く。指定された部屋にあった 変死体は、過去の事件の関係者。羽吹の記憶の扉は開くのか。

◼感想
シリーズ3冊目。次々と明かされていく羽吹の過去、メンタル的に羽吹が限界で心配です。神尾が羽吹のオカンみたいでそのやり取りが唯一癒される、羽吹にとっても神尾の存在が大きくなっているのが分かります。黒幕が本格的に動き出して追い詰められていく羽吹、まさかあの人が被害者になるとは…。
五十川が怪しくみえてしまう、黒幕ではなくても羽吹の誘拐事件の関係者だったりして。そして犯人から送られてきたメールははたして真実なのだろうか、個人的には犯人が羽吹を動揺させるためのブラフだと思うが…。続きが待ち遠しい。

札幌市白石区みなすけ荘の事件簿 ココロアラウンド(★★★★☆)

◼あらすじ
人類の一部が代償つきの超能力を得るようになった世界―の札幌。白石区にあるみなすけ荘には個性豊かな能力者たちが住み、増加する超能力犯罪に挑む自治組織を営んでいた。住人の藤坂工輝は「死ぬと生き返る」能力を駆使し、高校生ながら事件解決に一役買っていた。そんな彼の最大の関心事は新住人の女子高生・八野心。なぜか自分の能力を明かさない彼女の秘密に、ある事件をきっかけに触れることになるが―「…わ、私の能力を知っても、味方でいて、くれますか?」だがその事件は、心を巻き込み、札幌を危機に陥れようとしており!?心を救うため、みなすけ荘メンバーが立ち上がる!第31回ファンタジア大賞“銀賞”受賞作。

◼感想
主人公・工輝の小乳への愛が重い、そこら辺のセクハラ気味な心とのやり取りが面白かったです。工輝の信条である「情けは人のためならず」のおかげで最後の温かい結末に繋がったのが嬉しい。死ぬと生き返る能力はチートだけど毎回痛みを感じるわけだから工輝の精神的負担がすごすぎて言葉にならない、女神様が優しいのが救いですね。
他のみなすけ荘のメンバーもキャラが濃くてなんかお腹いっぱいな気分。牧下さんは超能力者じゃないのになんで自治組織を作ったんだろうか。最後の工輝と心のキスのエピソードが初々しくてニヤニヤ、久地中たちに負けないぐらいのラブラブなカップルになったりして。

ラストラウンド・アーサーズ3 雪の少女とアーサー殺しの王(★★★★☆)

◼あらすじ
偽りの正義に奪われたすべてを取り戻すため、マーリン、覚醒! 瑠奈に振り回される毎日。だがそれはいつの間にか凜太朗にとって、かけがえのないもので……。正義を語るアーサー王候補によって、倒れた瑠奈と奪われた居場所を取り戻すため、凜太朗は真なる力を手に入れる!

◼感想
シリーズ3冊目。モルガンの策略によって籠絡されたアーサー王候補に倒されてしまった瑠奈たち、瑠奈を救うために凜太朗は自分自身と闘いながら新たな力に目覚めていく。作者さんと同じく敵だったキャラが味方になるパターン大好きですよ、いつの間にか瑠奈達と過ごす日々を楽しく感じていた凜太朗が再び覚醒する展開は熱くて読みごたえがありました。
そして「真ヒロイン」としてクローズアップされた彼女の想いが健気、どうしてマーリンを裏切ることになったかは不明ですが報われてほしいと思います。ハーレムエンドはダメですかね?モルドレッド卿はいつか味方になって凜太朗たちの前にあらわれてくれたらいいなと思ったり。