筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。鎌倉の夜は、罪を隠さない(★★★★☆)

 

■あらすじ

東雲清一郎は、大学生活のかたわら書家として活動し、筆跡鑑定も行う超絶イケメン。だが、中身はトゲトゲなハリネズミのような毒舌家だ。おしゃれなカリグラフィー、図書館本の落書き、離別した父からの手紙、そして過去からのメッセージ―「気持ちに嘘はつけても、文字は偽れない」。そう断言する彼の秘密が、また一つ明らかになっていく…古都・鎌倉を舞台に、文字と書、人の想いにまつわる事件を描く大人気ミステリー、第4弾!

 

■感想

シリーズ4冊目。「呆れる」の話は本当に呆れてしまうようなオチだった。「呪われる」は完全に自業自得なのでこの結末で良かったかと。相変わらず裏辻が物騒なこと考えていそうで怖い。

美咲の影響や将来のことを考えて少しだけ他人に対して柔軟な態度をとるようになった東雲、そんなせっかくの東雲の変化も物語後半で元に戻ってしまう。東雲の過去を追いながら自分の気持ちを自覚していく美咲、自分よりも東雲がかつて好きだった葉月を優先しようとしたことに傷ついてしまうのがすごく分かる。でも最後の東雲の「なかなおり」で一気に雰囲気が明るくなりました。今回東雲の心の扉を開いたのは間違いなく美咲なので前向きに頑張ってほしいです。

 

妹さえいればいい。 (11) (★★★★☆)

◼あらすじ
小説がまったく書けないという大スランプに苦しむ伊月を、恋人の那由多は優しく見守る。土岐や京は伊月を復活させるための方法を模索するのだが、結果は芳しくない。一方、女の子であることを隠さなくなった千尋にも、大きな変化が訪れるのだが…。そんななか、第16回GF文庫新人賞の授賞式が開催される。青葉や木曽たちが受賞してから、はやくも一年の月日が経っていたのだ。怒涛の流れに翻弄されながらも、主人公たちは足掻き続ける―。大人気青春ラブコメ群像劇、衝撃の第11弾登場!

◼感想
シリーズ11冊目。前回のスランプから脱することはないまま終了。撫子に引き続きまさかの千尋まで闇落ちとは…。春斗らしく誠実に対応してましたし、彼も京とどうなるか先行き不明で千尋にもまだチャンスがあるのかな?それがきっかけで伊月と父親が仲直りしたのは良かったと思います。
那由多とは別れてしまいましたか…。「俺の物語は、もうこの程度でいい」という伊月の心の呟きが切ない、小説に対して今までは全神経を注ぎ込んでいたのにいつの間にか妥協してしまっていた。那由多との別れをきっかけに今度こそ復活してほしいですが…。海津さんは少しアシュリーさんに構ってあげてください。

五条雪彦の新説な美術史 諸説あります。(★★★★☆)

五条雪彦の新説な美術史 諸説あります。 (富士見L文庫)

五条雪彦の新説な美術史 諸説あります。 (富士見L文庫)

◼あらすじ
女学生の熱い視線を浴びながら、ニコリとも笑わない男―美術史准教授・五条雪彦。幼馴染でもある雨音は、この春から彼の助手になった。しかし、雨音の専門は心理学。世界的ベストセラーを持つ雪彦の研究に苦戦中だ。「先入観なく作品を見てくれる雨音の視点が必要だ」と言ってくれる雪彦の期待に応えるべく絵画と格闘する雨音だが、彼が解く謎は美術だけではなくて―?ダ・ヴィンチドラクロワラファエロ、ベラスケス…。名画と日常をつなぐ、新解釈美術ミステリ!

◼感想
美術史の准教授と助手が有名な絵画を題として新たな解釈を議論する美術ミステリ。一枚の絵画に様々な意味を作者が込めていることを実感した一冊でした。それを雪彦と雨音がお互いの専門分野を生かしながら丁寧に紐解いていく。1話目はダ・ヴィンチの腐敗した教会への痛烈な批判、変り者とはよく聞くけどダ・ヴィンチが高潔だったからこそこういう作品が生まれたのだろう。
ラス・メニーナス」は心が穏やかになるような解釈でした。タイトルに「諸説あります」の通りあくまで可能性のある一説に過ぎない、でも雪彦達の考えは個人的に好きです。最後の雪彦の「好き」はLOVEだと思います…!

七姫物語 東和国秘抄 ~四季姫語り、言紡ぎの空~(★★★★☆)

 

 ■あらすじ

ある大陸の片隅。そこでは七つの都市が先王の隠し子と呼ばれる姫君を擁立し、国家統一を目指して割拠した。七宮カセンの姫に選ばれたカラスミ。彼女を担ぎ出したのは、テン・フオウ将軍とその軍師トエル・タウ。二人とも桁違いの嘘つきで素姓も知れないが、「三人で天下を取りにいこう」と楽しそうにそう話す二人の側にいられることで、カラスミは幸せだった。しかし、隣の都市ツヅミがカセンへ侵攻を始めて…。時代に翻弄されながらも自らの運命と向き合う少女の姿を描く、オリエンタルファンタジー

 

■感想

将軍・テンと軍師・トエルに見初められ七宮の姫に擁立された少女・カラスミを描くオリエンタルファンタジー。主人公・カラスミは優しくて純真な少女、彼女にとっては国がどうとかよりも大好きなテンやトエルと一緒にいられることの方が大切なんだよね。そんなカラスミの思いもよく分かる。メインの3人組はキャラも魅力的だし、バランスもとれていて好きになりました。カラスミとヒカゲの会話も和みました、ヒカゲが呼び捨てを強要するところとか。

ラスボスはクロハなのかな?確かに不思議な少女でした、今後カラスミが彼女とどう向き合っていくのか気になる。次なる敵は常盤姫、あまり犠牲者がでないといいけど。続きも順調に刊行されますように。

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 9.双姫乱舞(★★★★☆)

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 9.双姫乱舞 (HJ文庫)

-インフィニット・デンドログラム- 9.双姫乱舞 (HJ文庫)

 

 ■あらすじ遺

跡を巡った戦いは激化し、皇国の切り札として二人の超級職がその姿を現す。さらに遺跡では先々期文明の希望であったはずの決戦兵器が目覚めようとしていた。王国の危機に至り、仮面の王女はその力をふるうことを決め、レイの籠手に潜む鬼もまたその姿を現さんと機会を窺う。舞台となるはカルチェラタン。数多くの危機から、この地に生きる人々をレイたちは守り切ることができるのか―。激熱VRMMOファンタジー待望の第9巻!

 

■感想

シリーズ9冊目。今回はバトル描写多めで思わず一気読みしてしまいました。序盤は魔将軍・ローガンVSレイ、能力的には将軍の方が上なのに性格が短絡的なせいでレイのカッコよさが際立つ結果に。ガルドランダも大活躍でした。分かってはいたけどトムが好きなので色々と情報が鮮明になってきて嬉しい。「いざいざ躍らんグリマルキン」という台詞が頭から離れません。

アズライトが正体を明かしても態度が変わらないのはレイらしいなと思います。マスターに協力してもらいながら国を守ることに決めたアズライト、彼女のこれからの活躍が楽しみです。そろそろマリー達の様子も知りたい!

 

 

錆喰いビスコ2(★★★★☆)

錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ (電撃文庫)

錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ (電撃文庫)

◼あらすじ
“錆喰い”由来の特殊体質を治すべく、大宗教国家・島根を訪れたビスコたち。しかし―そんな一行の前に野望の不死僧正・ケルシンハが立ちはだかる。不意打ちで胃を盗まれたビスコの余命は、僅か―五日!?暴走した“錆喰い”体質で心臓にキノコが咲けば即アウト!相棒・ミロとともに様々な宗教ひしめく島根の中枢“出雲六塔”に潜入した彼らは、はたして無事、元の身体を取り戻せるのか。そしてかつて立った頂点奪還を目論むケルシンハの暴虐に、相棒の絆は打ち勝てるのか―!?熱い絆で射貫く怒濤の冒険譚、再び!

◼感想
シリーズ2冊目。前回の黒革との戦いで不死の体質になってしまったビスコ、その体質を治そうとしている理由にジーンときた。後半のケルシンハとの戦いで死にそうになっているミロに寄り添うビスコがめちゃくちゃカッコいい。アムリィの言う通りその姿は美しいけど無器用にもみえる。
今回の新キャラ・アムリィが健気で可愛かったです。ただ普通に愛されたいと願う少女、ビスコ達の窮地を救う強さも持っていて逞しく成長していくんだろうなと。チロルやパウーも引き続き登場してくれて嬉しいです。次回で第一部終了とのことなので早く読みたいと思います。

KB部(2)(★★★★☆)

KB部(2) (MF文庫J)

KB部(2) (MF文庫J)

◼あらすじ
いつもの放課後。いつもの部室。皆で膝を付き合わせての、いつもの執筆タイム。「KB部」で京夜は自由に物語を紡ぎ、創造する時間を楽しむ。「オレたち原始人だった!」「ええ。はい。はじまり人間ですねー」「オレたち海賊になった!」「宇宙海賊っていう案もあったんですけど」好きに小説を書いたり読んだりできる部「軽文部」の放課後はいつもにぎやか。京夜は今日も、彼女たちとの物語を綴る。2巻では、海賊や原始人、異能力者になってしまう部員たち!いつもどおりの「GJ部」ほか、1話4ページの短編を36話収録!ゆるふわ4コマ小説、ときに想像は時空をも超えて―。

◼感想
いつものGJ部に加えて海賊・原始人・異能力者などメタが多すぎて若干混乱気味。色々なテイストの話が楽しめるのは嬉しいけど個人的にはGJ部とGEだけでいいっす。「デート」シリーズと「ラブいの」シリーズにニヤリ。恵推しなので、実際に京夜にグルーミングしてもらうところも見たかった…!「ばくはつして」発言は恵にしては過激で何か新鮮。
デートの話はタマのターンもあったのが嬉しい、素っ気ない態度だけど絶対「ラブいの」にもまざりたかったんじゃないかな。次回はGEもあったらいいなと思ったり。